ビズスパ
2021.06.22
美容師が伝えられるのは技術で変える楽しさ。それがコロナ禍を生き抜く強さに——高木琢也さん(OCEAN TOKYO)
高木琢也さんといえば、“日本一の美容師”と称されるトップランナー。渋谷に6店舗と大阪に2店舗、計8つの美容室が展開されるOCEAN TOKYOの代表を務めています。
中学3年生のときに初めて訪れた原宿で大きなインパクトを受け、「この街でかっこいいことをしたい」と抱いた憧れをかたちにし、やがて「かっこいいことを自分たちがするだけじゃなくて、かっこいい人を生み出せる仕事をしたい」と立ち上げたのがOCEAN TOKYOです。
そんな思い入れの詰まった渋谷・原宿の街に対して、高木さんがいま抱いているのはどんな気持ちで、どんな具体的な行動へとつながっていったのでしょうか。
みんなを明るく! コロナ禍に再認識した“美容師の役割”
2020年春、新型コロナ感染症拡大による世の中の動向を受けて、高木さんが一番考えを巡らせたのは、まずスタッフたちのことだったと言います。東京エリアに100人ほど在籍しているスタッフたちが、どうしたら安心して営業できて、その上で、どうしたらお客さんにも安心して来店してもらえるのか。
まだ消毒液などがさほど簡単には手に入らなかった頃、方々からかき集めるようにしてスタッフ全員分の消毒液をなんとか手配した上で、高木さんは全スタッフに、美容師としてより大切な考え方についてのメッセージを伝えました。
「自分たち(美容師)のそもそもの役割って、体調が悪いのをお医者さんが治してくれるみたいに、テンションが上がらない人を明るく治していくこと。髪切ったらこう変われるよっていう楽しさをおれたちが伝えていこう、って。それができるスタッフたちをおれは育ててきたつもりだから」
この状況が1年以上続くと見越した上で、高木さんがコロナ禍の当初に強く伝えたメッセージでした。
「お店に来て」と言いづらい状況下…楽しくて心揺さぶるものを発信し続けた
そんなふうに多くのスタッフを精神面から支えていった高木さん。他にもコロナ禍にあって積極的な施策を打ち出していきました。
「やっぱり僕たちは髪の毛切らないとごはん食べれないんで。かといって“みんな来てくれ”とは言いづらい」
OCEAN TOKYOの顧客の大きな割合を占める若い世代に対して、学校行事や夏休みも満足に楽しめないコロナ禍がとてもかわいそうだと考えた高木さん。「楽しくないなら、じゃあウチが楽しいことを作ろう」という精神で、一般に販売しているオリジナルのシャンプーとトリートメントに、おまけとしてOCEAN TOKYOのスタッフがキャラクターになったシールをつけたのだそう。
「幹部スタッフ9人のうち誰のシールが出てくるかはわかりません。そういうグッズをつくってみたりとか。
そうやって“この美容室に行ってみたい”、“いつか行ってみよう”みたいな心のザワザワを作ってあげたいなって。たとえそれがいまの売上に繋がらなくても、そのときのインパクトは必ず残ると思ってるので。そういう、心を揺さぶられること、そしておもしろい反面かっこいいことを、とにかくひたすらやってきた一年でした」
それぞれの得意なことを持ち寄って、日本全体をイケてる街に
そんな高木さんはいまあらためて、渋谷の街をどんな目線で見つめているのでしょうか。
共に街をより良くしていける同志を求めて、最後にこんなメッセージを寄せてくれました。
「僕たちはひとりひとりをかっこよくしていくことしかできないです。でもひとりずつをかっこよくして、それを伝播させて、原宿や渋谷をかっこいい、かわいい、イケてる街にしたい。
だからいろんな企業や、面白いアイデアを持ってる人たちがたくさんいれば、(美容室でできること以外に)ひとりひとりをもっとかっこよくしていくことで、いろんな伝播が起こっていきます。日本中がイケてる街になったら……結構夢があるなと思ってます。自分たちの持っている武器を集めて、みんなでイケてることをやりましょう!」
■INFORMATION
OCEAN TOKYO
東京都渋谷区神宮前5-27-7 アルボーレ神宮前4F
https://www.oceantokyo.com
■ ABOUT「ビズスパ」
「ビズスパ」は、コロナ禍においてさまざまな課題を抱えている事業者のみなさまに向けた、withコロナの時代に「ビジネスをパワーアップさせるスパイス」。
渋谷区で頑張っているお店や企業の取り組みや、ビジネスのヒントを紹介するサポートプログラムです。
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実行委員長
大西賢治
渋谷区商店会連合会 会長
不要不急の外出の自粛など、皆さんの協力のおかげで最大の危機を乗り越えることができたと感謝しております。しかしながら、カルチャーの発信地でもある渋谷を支える多くの商業や産業は、いまだ大きなダメージを受けています。事業者の方々はこの先に不安を抱きながらも、日々努力と工夫を重ねながら事業を存続できるように頑張っています。みなさんが、安心して渋谷を訪れ、安全に楽しめる街になり、渋谷の街が元気を取り戻すことで、渋谷だけではなく全国の商店会も活気が出ると思っています。渋谷を愛する皆さんのお力をぜひお貸しください。